絵本

旅する仔猫ぐっぱぐっぱ

このお話は、ロサンゼルスに捨てられた1匹の子ネコの物語です。
お話はもちろん、フィクションです。
だけど、ぐっぱぐっぱ は実在の猫です。
生後1年にもならないのに捨てられたのも事実で。
拾われて、欲しいという人に引き取られましたが、$3,000の家具にそそうをしたからと、一晩で突き返して来た人も実在します。
もし、あなたが子供の頃にこんな目に会ったら、どんなに傷つくか想像してみください。だから、ぐっぱぐっぱの名誉を取り戻すために、このお話は描かれます。

仔猫は$3,000の家具にオシッコをしたという理由で
飼われてたった一晩で捨てられました。
そうして、まだ1歳にもならないのに、ひとりぼっちになってしまいました。

でも、へっちゃらでした。
だって、それは神様が望んだことだから。
神様は仔猫に《ぐっぱぐっぱ》という名前をくださいました。

だから、ぐっぱぐっぱ は旅に出ました。

ある日、ぐっぱぐっぱ は道端で泣いている人に出会いました。
ぐっぱぐっぱ はその人に近寄り優しく言いました。
「両手を出してごらん」
泣いている人は黙って両手を差し出しました。
「ヒライテごらん」
とぐっぱぐっぱ は言いました。

泣いている人が黙って両手を開くと、
ぐっぱぐっぱ はその手に自分の手を重ね、
ぐ~ぱ~ぐ~ぱ~ぐ~ぱ~ぐ~しました。

二人は見つめ合い幸せを一粒見つけました。
泣いていた人が笑うと、ぐっぱぐっぱ は蝶のように何処かへ行ってしまいました。
でも、もう大丈夫。
泣いていた人の心はヒライテいるから。

ある時、ぐっぱぐっぱ は喧嘩をしている人たちに出会いました。
その人たちは、どんな武器や言葉で相手を傷つけようかと考えていました。
ぐっぱぐっぱ は行って、「両手を出してごらん」と言いました。
ひとりが両手を出すと、「ヒライテごらん」と言いました

そして、ぐっぱぐっぱ はその手に自分の手を重ね、
ぐ~ぱ~ぐ~ぱ~ぐ~ぱ~ぐ~しました。
その人たちは見つめ合い幸せを一粒見つけました。
怒っていた人が笑うと、ぐっぱぐっぱ はテントウムシのように何処かへ行ってしまいました。

でも、もう大丈夫。
怒っていた人たちの心はヒライテいるから。
「いかに傷つけるかを考えるより、先に、いかに理解しあうかを話しあおうと」提案しました。

ある時、ぐっぱぐっぱ はサボテンの森の中で羨(うらや)んでいる人に出会いました。
その人は、いかに世の中が不公平かを主張していました。
ぐっぱぐっぱ は行って、「両手を出してごらん」と言いました。

羨(うらや)んでいる人が両手を出すと、
「ヒライテごらん」と言いました。

そして、ぐっぱぐっぱ はその手に自分の手を重ね、
ぐ~ぱ~ぐ~ぱ~ぐ~ぱ~ぐ~しました。

でも、もう大丈夫。
羨んでいた人の心はヒライテいるから。
自分の手がいかに素敵かってことに気付き、サボテンの森から出て行きました。

ある時、ぐっぱぐっぱ は悔やんでいる人に出会いました。
その人は、自分の行いがいかに愚かだったかという思いの下敷きになっていました。
ぐっぱぐっぱ は行って、「両手を出してごらん」と言いました。
悔やんでいる人が両手を出すと、
「ヒライテごらん」と言いました。

そして、ぐっぱぐっぱ はその手に自分の手を重ね、
ぐ~ぱ~ぐ~ぱ~ぐ~ぱ~ぐ~しました。
二人は見つめ合い、幸せを一粒見つけました。
悔やんでいた人が笑うと、ぐっぱぐっぱ はハチドリのように何処かへ行ってしまいました。

でも、もう大丈夫。
悔やんでいた人の心はヒライテいるから。
未来は、過去にはない「可能性」に溢れているってことに気付きましたから。
もう下敷きにはなりませんよね。

最後にぐっぱぐっぱ は、ぼーっとしている人に出会いました。
その人は、ぼーっと雲を眺めながら、お茶を飲んでいました。

ぐっぱぐっぱ が近づくとその人は
「こんにちは。天気もいいし、お茶も美味しいよ」と言いました。

ぐっぱぐっぱは行って、「両手を出してごらん」と言いました。
ぼーっとしている人は、手のひらをぐっぱぐっぱに出しました。
ぐっぱぐっぱ はその手に自分の手を重ね、
ぐ~ぱ~ぐ~ぱ~ぐ~ぱ~ぐ~しました。

すると、その人はケラケラ笑って。
お返しに、ぐっぱぐっぱの肉球の間に指を入れてニギニギしました。

「くすぐったい」

ぐっぱぐっぱ はそう言って、その人と暮らすことにしました。
それ以来、ぐっぱぐっぱ はニギニギの家でイモムシのようにゴロゴロ暮らしています。